いづのめ教団版「天国の礎」について

あとがき

教祖・明主様の本願は、全人類が幸福な生活を送ることのできる病貧争絶無の「地上天国」の実現であります。

明主様は、天啓により自らの使命を知らされて以来、人類愛・世界愛に燃え、悩み苦しむ人々、救いを求める人々に対し、分け隔てなく、無上の愛による救いの手を差し延べられたのであります。

しかしながら、明主様ご在世の時代は、人権擁護の意識が低く、差別に結びつく言葉や表現が多く用いられた時代でありました。明主様もその時代的制約の中で、教えを説かれたのであります。明主様の文章において、今日では差別につながる表現箇所があったとしても、それは時代背景に根ざし、それによって制約された慣用的用語であり、全人類救済を唱導した、明主様の教えの本質とは異なるものであることはいうまでもありません。しかし、当時の社会的通念に従って表現された用語といえども、今日では差別的な誤解を招く不適切な表現と判断される箇所は、十分配慮し、改めることとしました。それは、教えに照らすとき、もし明主様がご在世であれば当然、手を加えられるであろうと拝察されるからであり、そうすることが、明主様の教えの本義を貫く道であり、明主様の尊厳を犯すことにはならない、と信ずるからであります。

いまなお、悲しいことですが、現実の社会には、人種・民族による差別、心身の障害や性による差別、部落差別、職業差別など幾多の差別があり、多くの人々が傷つき、不当な苦悩を背負わされています。また、多くの人々がこのような差別撤廃のために努力と活動を行っていることも事実であります。

この差別排除の努カの道こそ、現世の悲劇を滅失し、地上天国建設に遇進された教祖の教えに一致するものであり、本教団は、世界の中に存在する差別の観念と悪弊の根絶を願い、人類的努力を駆り立てることに挺身していく所存であります。

本書の刊行にあたって、本教団の人権擁護に対する姿勢を十分理解されんことを、切に念願する次第であります。

平成五年九月

世界教世教