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火素・水素・土素について


   抑々、宇宙における森羅万象一切は三大元素から成り立っている。即ち あらゆるものの生成化育は、この三大元素の力によらないものはないので ある。然らば、その三大元素とは何であるかというと、それは日、月、地 である。即ち日は火素の根源であり、月は水素のそれであり、地は土素の それである。即ち、経とは天から地まで、太陽、月球、地球の三段階とな っているのであって、日蝕の時、日月地が経に三段になっているにみても 明らかである。即ち、天界は太陽中心の火の世界であり、中界は月球中心 の水の世界であり、地は、地球中心の土の世界である。次に、緯とは、我 々人類が棲息しつつあるこの地上そのものの実体である。それはどういう 意味かというと、この地球上における実世界は空間と物質との存在であっ て、物質は人間の五感によってその存在は知り得るが、空間は長い間無と されていた。然るに文化の進歩によって、空間は無ではなく空気なる半物 質――私は仮に半物質と言う――の有る事を知ったのである。然るに、今 日まで空気だけと思っていた空間に、今一つ他の元素が存在している事を 私は知ったのである。それに対して私は、「霊気」というのである。もっ ともある種の宗教においては、霊界または生霊、死霊、憑霊等の説を唱え たり、行者または霊術師等も霊を云々し、欧米においても、霊科学の発達 によって、霊と霊界の研究は相当進歩しつつあり、かのオリヴァー・ロッ ク卿の有名な著書「死後の生存」やワード博士の「霊界探険記」等の記録もあ って、これらは相当信ずべきものであるが、私の研究の目的範囲とは全然 異なっているのである。

   そうして本来、物質の元素は土であり、あらゆる物質は、土から生じ土 に還元する事は、何人もよく知るところである。次に、半物質である水の 元素は、月球から放射されて、空気に充満している。然るに霊気とは、太 陽から放射される物質でもなく、半物質でもないところの非物質であるか ら、今日まで未発見であったのである。故に、最も分り易くいえば、土が 物質、水は半物質、火は非物質といえるのである。

   右の如く、物質の元素が土で、空気の元素が水で、霊気の元素が火であ って、この三元素が何れも密合して、そこに力の発生があるのである。こ れを科学的にいうならば、三元素なるものが、ほとんど想像も付かないほ どの微粒原子として、融合活動しているのが宇宙の実体である。故に、我 々の呼吸しているこの空間が生物の棲息に適する温度や、乾度、湿度があ るという事は、火素と水素の融合調和によるからで、もし火素が無となり 水素のみとなれば一瞬にして氷結すべく、反対に水素が無になって火素の みとなれば一瞬にして爆発し、一切は無となるのである。そうしてこの火 水の二元素が土と密合して、土が力を発生し、万物が生成化育されるので ある。この理によって、火は経に燃え、水は緯に流動するのが本性であり、 火は水によって燃え、水は火によって動くのである。

   古から、人は小宇宙と言われているが、右の理は人体にも当てはまるので ある。即ち、人体における火、水、土は「心臓、肺臓、胃」に相当するので あって、胃は土から生じた物を食い、肺は水素を吸収し、心臓は火素を吸 収するのである。故に、人体における心臓、肺臓及び胃は、火、水、土の 三元素を吸収する期間で、この機関が人体構成の最重要部を占めているに みても、右の理は肯かるるであろう。然るに、今日までは心臓はただ汚血 を肺臓に送り酸素によって浄化されたる血液を還元吸収するというように、 血液のみの機関とされていたのは、全く火素の存在を知らなかったからで ある。

   右の如く、胃は食物即ち土素を口中から食道を経て嚥下し、肺臓は呼吸 によって水素を吸収し、心臓は鼓動によって火素を吸収するのである。

   従って病気発生するや、発熱するという事は疾患部の凝結毒素を溶解せ んがため、必要量の熱即ち火素を心臓が霊界から吸収するのである。即ち 心臓の鼓動は、霊界から火素を吸収するポンプ作用である。発熱時より先 に、心臓の鼓動即ち脈搏が増加するのは、火素吸収が頻繁になるからであ る。その際の悪寒は、浄化に必要な熱量を吸収するため、一時体温の方へ の送量を減殺するからである。故に、下熱するという事は、毒素溶解の作 用が終わったのである。

   右の如くであるから、心臓が一瞬の休みなく、霊界から火素を吸収する ――それが体温である。また肺臓も空気界から水素を呼吸によって不断に 呼吸しているので、人体内の水分は口から飲下する以外、肺臓の吸収によ って得る量も頗る多いのである。

   右の理によって人の死するや、瞬時に体温は去って冷却し、水分も消え て、血液は凝結し、屍は乾燥し始めるのである。右を説明すれば、死と同 時に、精霊は肉体を脱出して霊界にはいるのである。故に精霊の火素が無 くなるから、水分は凝結するのである。言い換えれば火素である精霊は霊 界に還元し、水分は空気界に還元し、肉体は土に還元するのである。

昭和18年(1943年)10月5日
「明日の医術」     『聖教書』 p.131


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