我を去れ
およそ人間生活上、我ほど恐ろしいものはあるまい。霊界の修業は我を
とる事が第一義とされているにみても知らるるのである。私は以前大本教
信者の時、お筆先の中にこういう一節があった。「神でさえ我でしくじり
たのであるから、我ほど怖いものはないぞよ」とあり、また「我がなくて
はならず、我があってはならず、我があって我を出さないのがよいのであ
るぞよ」とあり、この意味たるや実に簡単にして我の実体を道破している
には感銘に堪えなかったのである。それによって私も大いに反省した事は
勿論である。
またお筆先に、人間は「素直が一等であるぞよ」との言葉も、実に至言
と思った。というのは、今日まで私の言う事を素直に聞いた人はまことに
順調に行き失敗はないが、我の強いためなかなかそうはゆかない人もある。
そのためよく失敗するのをみるのは、実に辛いものである。
右の如く我を出さない事と、素直にする事と、嘘をつかない事がまず信
仰の妙諦である。
昭和25年(1950年)2月18日
「救世」50号
『岡田茂吉全集』著述篇第八巻 p.374
『聖教書』 p.317
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