主の字


   私は常に、順序を正しくせよと言うが、この順序をたった一字で表わし たのが「主」の字である。今この主の字を解剖してみよう。

   上中下の横棒三本は天地人、日月地、五六七、神幽現という意味で、そ れを経の棒が貰き、一番上にヽが乗っている。これが正しい順序で、政治 でも経済でも教育、宗教でも一切万事この形でゆかなければうまくゆくはず がないのである。ところが今日まであらゆるものは、たいてい経緯が別々に なっていた。その最も大きなものは経の東洋思想と緯の西洋思想とで、それ が離れ離れであった。ところがいよいよ時節到来十字に結ぶ事になったの である。即ち主の字の真中が十の字であり、上下の横棒は天と地である。 つまり人間界は天地の間であるから、人間界が十字に結ばるというわけで ある。これが地上天国の実相で、即ち神の世界である。神という言葉もそ の意味である。カとは火、ミとは水で、火は経に燃え、水は緯に流れる。 これが結んでカミという意味になるので、高皇産霊、神皇産霊というが、 神のお働きは結びである。また仏はホトケであり、ホドケルであるという 言霊であるから、ホドケている世界を、紳が結ぶというのが、今や来たら んとする神世界である。キリスト教徒が胸に描く十字架もそれの暗示であ り、仏教の卍も同様の意味で、ただ仏教の卍は十の字の一つ一つが曲って いる。これは十の字に結ばると共に回転が始まるというれけである。以上 の意味によって政治も三段階でなければうまくゆかない。上下を真中の十 でしっかり結んで上下の棒を支えている。という事は中産階級が上層と下 層との階級を調和させる役という意味にもなる。そうして一番上に大統領 または総理大臣が坐って支配するという意味であるから、主の形にすれば 何事も破綻なくうまくゆくのである。会社経営でも団体運営でも理屈は同 じで、我らが常に唱うるミロクの世の姿である。

昭和24年(1949年)9月3日
「光」25号     『岡田茂吉全集』著述篇第七巻 p.369
昭和25年(1950年)1月30日
「自観叢書第十二篇 自観説話集」     『岡田茂吉全集』著述篇第八巻 p.23
『聖教書』 p.287


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