より細かい比較2 左側宝物
ここより、観音様のお手にもたれている様々な宝物をアップにして比較して頂きたいと思います。宝物は、千手観音様に関する何点かの資料を入手し、できるだけ名称を書いていこうとしたのですが、明主様の書かれた観音様は一般の千手観音様とは異なっており、すべての宝物について名称を確定する事は出来ませんでした。
おおよそ次のところに注意して観察してみてください。
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線の太さ
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線の終端や、線と線との交わり方
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線と線で作られる空間の形
おもしろいのは、部分部分で非常に上手に書かれている箇所と、非常に手抜きでへたくそな箇所があるということです。もしかしたら、有る部分は「師匠」が、有る部分は「見習い」が担当したのかもしれませんね。

(1)花 |
オリジナル |
秀明版 |
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お耳の形が違いますし、お耳の上から親指に向かって描かれている虹のような曲線のカーブが違いますね。 |
(2)化仏 |
オリジナル |
秀明版 |
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お顔が手抜きです。ていうか全体的に手抜きです。 |
(3)月輪(がちりん)? または金輪?それとも宝鏡? |
オリジナル |
秀明版 |
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内側の短い線が太すぎてつぶれてしまっています。一般の千手観音様は、この位置に、右手側に月輪(がちりん)、左手側に日輪(にちりん)を持っておられるのですが、これが月輪(がちりん)かどうかは不明です。手元の資料には、金輪という、まるで船の舵のような輪を持っておられるという事も書かれており、これはそれなのかもしれません。宝鏡かもしれません。 |
(4)椀 |
オリジナル |
秀明版 |
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これはひどいですね。縁のもよう(てんてん)も、胴体の模様も省略しています。それから上部の楕円をちゃんと結んでいません。(右上で切れています。)底面を意味する横線も引かれていません。 |
(5)鉞斧(えっぷ) (6)宝箭(ほうぜん 矢) |
オリジナル |
秀明版 |
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ここは比較的きれいにできていますね。「師匠」の作品かもしれません。斧と矢は一般的な千手観音様の持ち物のようです。 |
(7)宝刀 |
オリジナル |
秀明版 |
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(08)宝剣 (09)経巻 (14)不明、うずまき状のもの
(15)不明、六角形のもの (16)葡萄? (17)宝鏡または宝印 |
オリジナル |
秀明版 |
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ありゃ、左下の巻物(経巻)がまずいですね。巻物をむすぶひもを、秀明版は書き忘れています。このあたりはへたくそなので「見習い」の作品でしょう。 |
(10)不明、星形のもの (11)水瓶(すいびょう) |
オリジナル |
秀明版 |
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この星形の物体はいったいなんなのでしょうね。 |
(12)楊柳(ようりゅう) |
オリジナル |
秀明版 |
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一般の千手観音様は柳を持っておられるのですが、明主様の観音様が持っておられる物は笹のように見えます。秀明版は葉っぱ一枚一枚が全く違った物になっています。 |
(13)鞠?または宝鏡? |
オリジナル |
秀明版 |
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これは鞠だと思いますが、中の模様はかなり違っています。手抜きです。 |
(18)錫杖を持つ手 |
オリジナル |
秀明版 |
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(18)錫杖 |
オリジナル |
秀明版 |
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錫杖です。背景の円光と錫杖が重なっている箇所で、円光が消えてしまっています。錫杖の先の三つ又の部分、右側の先端が、秀明版は切れています。 |
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