明主様と二代様(4)

岩松部長講座から学ぶ

竣工

そして昭和36年10月5日、やっと竣成祭を迎えることができる。その竣成祭を前にして10月4日、御遷座祭が行われました。ご神体が、明主様のお写真が、水晶殿に仮安置されていました。この御神体を、お写真を、完成なった御神殿にお移しする、その御遷座祭が10月4日午後5時45分から行われます。薄暗くなり始めた水晶殿から救世会館に渡って筆火が焚かれます。

折り悪しく霧雨が降っています。その霧雨降る中を警蹕(けいひつ)の声を先頭にして、二代様が、そして御神体が明主様のお写真がしづしづと救世会館の中に入って行きます。明かりを消された御神殿の中、蝋燭の明かりの中、御神体が掲げられ、明主様のお写真が掲げられ、そして、「一、二、三、四、〜百千万」という天の数歌とともに、完成なった御神殿に御神霊がお下りになります。

明けて、10月5日竣成祭が始まりました。午前10時の開式を前にして雲が切れ青空が見えてきます。そして10時の開式の合図とともに、鍛帳(どんちょう)がするするっと上がりますと、そこには今まで見慣れていた神床ではない、ガラス戸の向こうに雲の切れ間から差し込んでくる光に照らされた神殿があります。世界救世教は光の宗教、それを象徴するように光の神殿がそこにありました。多くの来賓の方々、信者さんがその光景をみて感動に胸を熱くする。

竣成祭での二代様のお言葉は、「神殿完成は目的ではない、建設によって神様がよりお力を発揮して下さる、いよいよこの竣成祭が出発になるんですよ、これから救世教本来の活動に入るんですよ」。このように仰いました。当初、竣成祭参拝者数は5万人の予定だったのが、終わってみれば、10万人を越えていました。10月5日から28日まで途中休みがありましたけれども、20日間の竣成祭、10数万人の方々が参拝に来られました。しかし、この竣成祭を終えた時、二代様の体は、もうボロボロになっていました。

ご負担

二代様は非常に太ってられた。何キロとは言いません。とにかく相当心臓に負担がかかっていたと思います。明主様御昇天後の萎縮し、又沈滞した教団にあって、幹部の方々に対して、「私と一緒に本当にこの教義に身を捧げる人ならば、多くを望まない。たとえ10人20人でも少なしとしない」。このように二代様は仰って、そして教団の建て直しを計って行くんです。御巡教に、御講話に、修養会に率先して体を張って、信仰の立て直しを図っていかれる。そして神殿建設を発表されてからは、一層体力の限界を越えて無理に無理を重ねていかれる。その極限状況の中で迎えた竣成祭だったんです。

二代様はあらゆることに気を使います。信者さんが参拝に来られる、その信者さん達の事に気を使う、水は大丈夫だろうか?雨が降れば、傘の心配をする。あらゆることに気を使っていかれます。そして、海外から教師の方が帰って来られる。その教師の方がご挨拶に碧雲荘にお伺いをする。二代様は具合が悪くてお帰りになると床にふせってらっしゃいますけれども、その教師の方が、ご挨拶に来られると、その床から起き上がってそして信仰の話になると目を輝かし、身振り手振りで信仰の話をされるんです。まさに神が憑かれたように信仰の話をされる。自分自身、体が悪くて伏せってらっしゃるのに、信仰の話を海外の教師の人にするんですよ。そしてその教師が帰る時には、「あなた体に気をつけてね」。ご自身体が悪いのに相手の体の気を使って上げる。そのお姿に教師の方はただただ、頭の下がる思いでしたという風に思い出を語ってらっしゃいます。

竣成祭に出る折、碧雲荘からお車に乗る時にはもうやっとの思いで車に乗られます。そして、救世会館に着かれ、南面から控え室に入られる時にはもう肩で息をつくような状態であがられるんですね。それが控え室から一歩舞台に出られると、しゃきっとして歩かれていく。体の悪い舞台俳優が舞台に一歩出ればすっきりと演じるように、まさに二代様は、神様から与えられた使命を全うするように堂々と演壇に立ち向かわれ、そして鈴の音をころがすように明るい朗々とした声で思いのたけを話されるんです。しかし奉仕の側近の方々は、二代様の体が日増しに体力が無くなっているということはわかってます。二代様に対して、もう後4日で終わります。後3日で終わります。励ましていかれます。そして最後の御講話を終えられて二代様が舞台から降りられ、そして控え室に肩で息をするようにして帰って来られます。

そしてお座りになったところに、その日の奉納芸能をされる市川猿之助さん、先代の猿之助さん、猿翁さんですね。その方が今日私が奉納演芸をさせていただきます。二代様よろしくお願いします。その猿之助さんの顔を見て、「猿之助さんあなたちょっと顔色が悪いわね、こっちにいらっしゃい、御浄霊をしましよう」。もうご自身が早く碧雲荘に帰って御寝所に入ってお休みになりたいのに、その日奉納芸能される猿之助さんの顔色が悪いからといって浄霊をされるんですよ。まさにここには人を思う利他のお姿があります。竣成祭が終わった時、二代様のお体はボロボロになっていました。

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画像は御遷座祭